環境
April 10, 2009

4月から、2010年度施行の改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)に向けた準備期間が始まった。従来は工場・事業場単位でエネルギー使用量を管理すればよかった。2010年4月からは企業単位となり、オフィスや小売店、加盟店チェーン、ホテルなどに規制の対象が広がる。エネルギー使用量が年間1500キロリットル(原油換算値)以上の場合は、経済産業省に届け出る必要があるため、企業は今月から年間の使用量を記録しておかなければならなくなった。
企業が省エネ対応で関心を寄せるのが、LED(発光ダイオード)。
蛍光灯と比べると、消費電力は半分以下。商品寿命は約4万時間で、蛍光灯よりも数倍長い。改正省エネ法を追い風に、LED照明を売り込もうするメーカーが続々と登場している。蛍光灯より初期投資はかかるが、ランニングコストを考えれば安いが各社の売り文句。競争激化で、価格も急落。半年前と比べ、半値から3分の1とした新興企業もある模様だ。
LEDで消費電力増?
ところが、思わぬネックがコンビニエンスストアでの取り組みから浮かんできた。
店内照明をLEDにすると、消費電力が15%増える?
問題となったのは、照度だ。蛍光灯が満遍なく照らすのに対し、LED照明は直線的に光を発する傾向がある。このため、商品棚の位置によって、光の当たり方にムラが出る。消費者には弁当の具材など色合いが違って見えるというわけだ。ムラをなくそうとすると、その分、多めにLED照明を設置しなければならない。蛍光灯の環境をLEDで再現しようとすると、電気使用量が増えてしまう。
ローソンはLED照明を関東や近畿など約50店舗で実験している
現在、セブンイレブンでは看板にLEDを採用するほか、店内は蛍光灯の本数を減らして省エネに努めている。2年前は標準店で85本だったが、今は54本になった。配置を変えたり、床の反射を利用したりして、照度を維持している。LED照明は諦めない。今年夏過ぎの採用をメドに、研究を続けている
課題は、やはり店内照明。現場からは暗いという意見もあった。照度を落とさず、コストをどう抑えるか。この基準を策定するのに苦労している
光の当て方に一工夫
照度とコストを両立するために、ローソンが編み出した工夫が光の当て方だ。商品棚の真上に照明を設置するのではなく、通路の中央にずらす。そして、棚全体に光が当たるように、照明の角度を傾ける。これで、効率よく照度を確保できるという。いわば、スポットライトのようなイメージだ。
光の色によって、レジ横で販売している空揚げなどをおいしく見せることも可能。明るさを微調整できるLED照明の利点も生かし、時間帯や季節に合わせて光量を調節して店内の雰囲気作りに役立てる。
LEDにかかる初期コストの増加分は、店舗設計全体の見直しで吸収する。
コンビニの店内照明が示すように、省エネだけでは蛍光灯からLEDへの置き換えが難しいケースもある。しかも、企業は業績悪化で投資意欲が冷え込む。そこで、長寿命のLED照明は取り換えを意識せず、最初からオフィス家具に組み込んでデザインできるといったアイデアで需要喚起を図る動きも出ている。
蛍光灯とは違う、新たな使い勝手を提案できるか。これが、今後、LED照明が普及するカギとなる。
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April 08, 2009
【自然エネルギー】中国サンテックが本格上陸
サンテックは、2006年8月に日本の中堅太陽電池メーカー、MSK(東京都新宿区)を買収し、子会社化した。今後、日本市場の本格開拓は、MSKが担うことになる。
これまで日本市場には太陽電池関連の海外メーカーがほとんど参入していない。それは家庭用主体の市場構造が一種の“非関税障壁”になっているからだ。住宅に太陽電池システムを設置するには、新規住宅の場合はハウスメーカーが、既築住宅の場合は工務店などが設置工事を担う。シャープや三洋電機、京セラなど国内の太陽電池大手はこうしたルートをがっちり押さえている。太陽電池は工事が不可欠。今からサンテックが参入しても販売ルートが確保できないと見る業界関係者は多い。
だがサンテック製の太陽電池は既に日本の住宅の屋根に載っている。MSKはサンテックに買収される以前、国内メーカーから太陽電池を購入し、建材一体型システムにして、ハウスメーカーに販売していた。サンテックの子会社になってからは、主にサンテック製太陽電池を使い建材一体型システムを製造し、ミサワホームなど複数のハウスメーカーに販売してきた。サンテックのMSK買収には、ハウスメーカーの販路獲得という経営戦略があったわけだ。
「1kWで70万円を切る」
今年2月、サンテックは、ウエストホールディングスの子会社であるハウスケア(東京都新宿区)とも販売に関する業務提携を結んだ。同社はヤマダ電機など家電量販店を主力販路に住宅リフォーム事業を展開している。既にヤマダ電機の店頭でのサンテック製太陽電池の販売が始まっている。ハウスケアとの提携を軸に従来の太陽電池の商流とは異なるルートで、既築住宅への販売を目指す。
サンテックは今年2月、単結晶シリコンを使い、世界最高クラスの変換効率19%を達成した。今年後半には量産を始める。日本にはこの最先端モデルを投入する計画だ。国内で初めて25年間の発電保証を全製品に付け、アフターケアを充実させる。安かろう、悪かろうという中国製品のイメージを変えるため、高性能と保守体制を売りにする
経済産業省は今年度から工事費を含め1kW当たり70万円以下であることを条件に、同7万円を補助する制度を始めた。高効率だが価格の高い一部の国内メーカー製では同70万円以下を達成するのは難しいといわれる。そんななかでサンテック製は、高効率タイプでも1kW当たり70万円を下回る見込みという。
「高性能で低価格」を武器にサンテックが国内太陽電池市場の台風の目になる可能性もある。
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