December 01, 2008
地上デジタルテレビ放送は、国家広電総局(国家ラジオ・映画・テレビ総局)が推進するラジオテレビデジタル化の4大業務の1つであり、五輪開催都市を含む8都市での試験放送を終えて、まもなく全国展開が始まる。
中国では25億元の資金を投入し、5年以内に、全国333の地区級市と2861の県を全面的にカバーする地上デジタルテレビシステムを構築する予定。
デジタルケーブルテレビは、33都市で一斉転換が完了し、全国の契約者数は、4000万世帯を突破。衛星デジタルテレビへの切り替えでは、西部地域にデジタル放送を届けるため、広電総局が通信衛星「中星9号」を打ち上げた。
またCMMB(中国モバイルマルチメディア放送基準)モバイルテレビは37都市をカバーしており、さらに全国展開を進めていく。
地上デジタルテレビ放送の推進は、郊外や農村に住む、非ケーブルテレビ契約者が対称で、約3億世帯をカバーする見込み。
25億元の財政援助
地上デジタルテレビ放送の国家標準は2007年8月1日から強制実施されたが、地上デジタルテレビ放送の最大のターゲットは、あくまで農村や郊外に住むテレビ視聴者なのである。
デジタルテレビの地上伝送規格に問題がないことは、8都市の試験放送で証明済みで、中国の地上デジタル放送規格の全方式に対応した受信チップや地上デジタルチューナー搭載テレビなどの端末には、十分な技術が備わっているという。
国が25億元の資金を投じ、3年から5年をかけて全国をカバーする地上デジタルテレビシステムを構築する予定だが、地上デジタル放送の普及には約30〜40億元が必要。残りの資金は地方自治体や各地の放送事業者から調達する。
地上デジタル放送は、各都市・県の送信設備や伝送設備を経て直接視聴者のテレビへと配信され、視聴者はセットトップボックスか地上デジタルチューナー搭載テレビでそれを受信する。地上デジタル放送の番組数は一般に30〜40あり、中央電視台のチャンネルと地方の衛星テレビ番組が主に放送される。
地上デジタルテレビ放送が全国に普及するプロセスには二つの段階があるという。第1段階では、37の大、中都市で中央電視台のハイビジョン番組を放送すると同時に、標準ビジョンのチャンネルでも番組を放送する。第2段階では、333の地区級都市と2861の県で標準ビジョンの番組が同時に流され、中央、省、市、県の標準ビジョンの番組が放送される。
ハイビジョンチャンネルの発展
地上デジタルテレビ放送の進展について、ハイビジョンテレビが目覚しい発展を遂げるかが重要なポイントだとみている。北京など8大都市で地上デジタルテレビ放送を推進した際、視聴者が受信設備の購入を決めた最大の理由はハイビジョン放送を見るためだったからだ。
広電総局の張海涛副局長は、家庭で見る場合、既存製品の中ではハイビジョンテレビが最も高品質だと述べた。日本では1980年代からすでに次世代テレビはハイビジョンテレビだと明言され、ハイビジョンシステムの研究開発に取り組んできた。90年代になると、米国がデジタルのハイビジョンテレビの研究開発に着手し始め、デジタル技術は信号処理、伝送、保存などの面で絶対的な優位を占めるようになった。このため、それ以降のハイビジョンテレビシステムはデジタル技術をベースに構築されている。
中国では、ハイビジョンテレビの発展はまだ初期段階。現在、国内では4つの有料ハイビジョンチャンネルが放送されているが、受信料が高いため契約者数は5万世帯にも及ばない。国内でハイビジョン及びフルハイビジョンのテレビは徐々に普及しているが、ハイビジョンチャンネル放送事業者と中間の伝送チャンネルには限界があるため、地上デジタルテレビ放送と共に発展していく事になるだろう。