September 03, 2009

ヤマトが中国・上海で「宅急便」

ヤマトホールディングスは、2010年1月をメドに中国・上海市内で「宅急便」事業の展開を始める。現地法人を子会社化して乗り出すもので、初年度売上高12億6,000万円(取扱荷物600万個)、10年後に40億円を計画する。上海では通販の利用が拡大傾向にあるが、ヤマトホールディングス側では時間指定配達や「クール便」などを武器に通販関連荷物の取り込みを進める考え。高品質の商品配送サービス提供を通じ、通販利用環境の向上につなげる構えだ。

ヤマトホールディングスは、国有投資会社上海久事公司および物流事業の上海金剛投資有限公司と合弁契約を締結。傘下の上海巴士物流有限公司が行う第三者割当増資をヤマトホールディングスが約34億8,000万円(出資比率65%)で引き受け子会社化。「雅[王馬]多(中国)運輸有限公司」に社名変更し「宅急便」ブランドで事業を行う。

現地の「宅急便」事業は、365日営業(午前8時―夜9九時)で、上海市内終日集荷・翌日配達が基本。スタート段階では、市内に約20カ所の拠点を設け、配送車両約100台と電動自転車数十台で荷物を配達。配達員については、現地で約400人を採用する。

料金体系はサイズ別に6区分を設ける予定しているが、既存事業者と同等か、それ以下に設定するという。このほかに、「時間帯お届けサービス帯」(6区分)、クール便(冷凍・冷蔵)、当日配達、代引き(現金払いのみ)などサービスも提供。上海を橋掛かりに中国全土での事業展開を構想する。

上海では、消費者の生活水準が向上しており、取り寄せ商品や贈答品などの分野で高品質の物流サービスへのニーズが高まっている。既に佐川グループが現地で宅配便事業を展開し、代引きサービスも提供しているが、クール便や当日配達を手掛ける現地宅配便事業者はないなど、日本ほどB2C通販の環境は整備されていないのが実情だ。
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上海の現地宅配業者は、ほとんどのところで当日配送を請け負っている

これに対しヤマト側では、時間帯指定配達と「クール便」をいち早く手掛けることで、商品が届けられるまでの顧客のストレス解消や、お取り寄せ商品の取り込みなどを推進。日本国内のビジネスモデルを投入し、流通革命を起すとしており、食品を扱う日本の一部通販関係者も、上海での「クール便」に興味を示している状況だ。




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