May 12, 2009

中国クルマ販売が急回復 台数では米国を超えるが、地方の需要と小型車が頼り

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世界各国で自動車販売が大幅に落ち込む中、米国を抜いて世界最大に浮上した中国市場に注目が集まっている。

中国の自動車販売は、昨年8月から10月を除いて前年割れが続いていたが、今年2月にプラスに転換。1〜3月の販売台数は約268万台と前年同期比3.9%増加し、米国(約220万台)に48万台の差をつけた。年間でも初の世界首位になるのが確実と見られている。


中国市場の回復に世界の自動車メーカーの期待がかかる

先進国に先駆け中国市場が回復に転じた背景には2つの要因がある。

消費者心理の好転
昨秋のリーマンショックの直後には、将来への不安から中国でもクルマの購入を先送りする風潮が広がった。

ガソリン値下げ、減税の効果
しかし、金融危機は沿海部の輸出企業の経営やそこで働く出稼ぎ労働者の雇用を直撃したものの、輸出企業の少ない内陸部やマイカー購入意欲が強い中間層への影響は小さかった。さらに、中国政府が打ち出した総額4兆元(約56兆円)の景気対策や、ガソリン価格の値下がりなどで、消費者の不安心理は徐々に後退した。

小型車減税
景気対策の一環として1月20日から実施した小型車減税は、排気量1600cc以下の小型車に限り、自動車取得税を10%から5%に引き下げた。買い控えでたまっていた潜在需要に、火がついた。

 

中国市場の回復が、世界の自動車メーカーにとって朗報なのは間違いない。しかし、その恩恵を誰もが等しく享受できるわけではない。

1〜3月のメーカー別の乗用車販売台数によると、上位10社のうち前年同期比プラスは5社、マイナスも5社と明暗が分かれた。増減率の落差も大きい。最も伸びたのは中国の新興メーカー、BYDで180.5%も増加。対照的に、トヨタの合弁会社、一汽トヨタは30.3%も減少した。


BYDが躍進、豊田は失速byd_f3_2

BYDの躍進は、外資系メーカーが進出していない地方都市や内陸部を重点的に開拓したことに支えられている。販売の6割は排気量1500〜1600ccの小型セダン「F3」が占めており、減税の恩恵も大きかった。
http://www.byd.com/

一汽豊田の失速は、昨年末までの販売減に伴う在庫調整で2〜3月に工場の生産を絞ったことが主因。中国の販売統計はメーカーの出荷ベースのため、ディーラーの実際の販売台数より統計上の減少率が大きくなった。加えて、最量販車種「カローラ」の主力モデルは1800ccで、減税メリットが受けられず、顧客が競合メーカーに流れたことも影響している。

ホンダの合弁会社の広州本田も、沿海都市部の富裕層に人気の高級セダン「アコード」(2000〜2400cc)が主力のため2.7%増にとどまった。

一方、日産自動車の合弁会社、東風日産は、1600ccの小型車「ティーダ」「リヴィナ」が好調で、販売を18.2%伸ばした。他社より遅れて中国市場に参入したため、競合の少ない地方都市に積極的に出店したことも関係しているようだ。

中国市場で果実をつかむ新たなカギは、地方市場の開拓と小型車の品揃えにある。
高級路線で走ってきたメーカーは戦略の見直しを迫られてきたともいえるだろう。

中国が世界経済のリーダー的な役割を担うのは間違いない


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